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2015/12/4 更新

物理学専攻談話会(セミナー)

談話会は,月1回,原則として金曜日 17:00 より,Z103 教室で開かれます。2, 3, 8, 9月は原則としてお休みです。学部学生以上,他専攻,他学部の方も対象のセミナーです。皆様の参加お待ちしています。

2015年度

講師:御領 潤(弘前大学理工学部)
日時:12 月 15 日(火曜)17:00〜18:00頃  場所:Z103 教室
題目:SrPtAs の超伝導とトポロジー

岡山大の野原グループにより発見された SrPtAs の超伝導[1]について お話しします。この物質は反転対称性が局所的に破れている結晶構造を 持ち、これを起因とした特徴的なスピン軌道相互作用が誘起されます。 また、クーパー対の波動関数の対称性はカイラルd-波と呼ばれる トポロジカルな超伝導状態である可能性が高いことが指摘されて います[2,3,4]。この超伝導状態から期待される興味深い現象として、

 (i)カイラルな表面状態が現われること
 (ii)スピン軌道相互作用の影響により、カイラルな表面状態がスピンを運ぶこと[4]

などについてお話したいと思います。
[参考文献]
[1] Y. Nishikubo, K. Kudo, and M. Nohara, JPSJ80, 055002 (2011)
[2] J. Goryo, M. Fischer, and M. Sigrist, PRB86, 100507(2012)
[3] K. Biswas, et al. PRB87, 180503(R) (2013)
[4] M. Fischer, et al. PRB89, 020509(R) (2014)
[5] カイラルp-波超伝導体Sr2RuO4の場合: M. Imai, K. Wakabayashi, and M. Sigrist, PRB85, 174532(2012); PRB88, 144503(2013).


講師:清水 克哉(大阪大学基礎工学研究科附属極限センター)
日時:12 月 11 日(金曜)17:00〜18:00頃  場所:Z103 教室
題目:硫化水素が示す約200Kの高温超伝導

昨年12月にairXivに報告された190Kの超伝導[1]は、高圧力下ではあるものの、20年間以上停滞していた超伝導転移温度の最高温度の記録を大幅に更新するもので、多くの研究者に注目されると同時に、その真偽を明らかにするために再現実験や追試が求められてきた。今夏にマイスナー効果のデータを加えて、203Kの超伝導[2]としてNature誌で発表されるに至ったが、現在までに超伝導を支持する再現実験は、我々のグループによる実験に限られているようである。一方で、高圧力下の結晶構造や超伝導転移温度は理論計算[3,4]によってよく説明されてきている。そもそも、室温にせまるような超伝導転移温度は、水素を高密度に圧縮した固体金属水素において理論予測されてきた[5]が、実験的にはその生成は達成されていない。その一方で水素を多く含有するいわゆる水素リッチな物質である水素吸蔵合金や炭化水素などを高密度に圧縮すれば、内在する水素由来の超伝導性が期待できると考えられてきた。この硫化水素は軽量な水素リッチシステムのひとつといえる。我々は、Eremetsらがセットした試料の入った高圧装置を受け取り、阪大の冷凍機および電気抵抗測定装置を用いて電気抵抗の温度依存性を測定したところ、文献[1]と同じ超伝導転移および、磁場による転移温度の抑制を確認した。この試料をSPring-8において結晶構造を測定したところ、超伝導転移温度前後における結晶構造は、Cuiらの理論予測[6]した結晶構造を再現しており、硫黄原子が体心立方で配置するIm-3mであることが分かった[7]。また、我々独自にセットした試料においてもややブロードながら、180Kの超伝導転移温度を再現した。
[参考文献]
[1] A. Drozdov et al., arXiv: 1412.0460 (2014), arXiv: 1506.08190 (2015).
[2] Y. Li et al., J. Chem. Phys. 140, 040901 (2014) など.
[3] I. Errea et al., Phys. Rev. Lett. 114, 157004 (2015) など.
[4] A. Drozdov et al., Nature 525, 73 (2015).
[5] N. Achcroft, Phys. Rev. Lett. 21, 1748 (1968).
[6] D. Duan et al., Sci. Reports 4, 6968 (2014).
[7] M. Einaga et al., arXiv:1509.03156v1 (2015).


講師:田島 治(KEK 素粒子原子核研究所)
日時:12 月 4 日(金曜)17:00〜18:00頃  場所:Z103 教室
題目:CMB偏光実験の最前線

宇宙初期に何がおき、どう進化してきたか?
 宇宙マイクロ波背景放射(CMB)をはじめとする様々な観測は、これらの問いを 少しずつ解明している。実験技術の向上とともに観測精度も向上し、今やインフ レーション宇宙論の研究を観測的に行う事も可能となってきている。特に、CMB 偏光の精密観測はその最良のプローブとして注目され、数度角以上の大きな非対 称パターン「Bモード」はインフレーションの決定的な証拠となる。
そのため、世界中でその観測実験が活発化している。本セミナーでは、CMB偏光  観測実験の基礎とともに、最新の話題・展望について解説を行う。


講師:西田 昌平(KEK 素粒子原子核研究所)
日時:10 月 30 日(金曜)15:30〜16:30頃  場所:Y201 教室
題目:まもなく始まる Belle II 実験

 1999年から2010年までつくば市の高エネルギー加速器研究機構(KEK)で行われた Belle 実験は、電子陽電子衝突型加速器 KEKB を用いて大量のB中間子を生成してその崩壊を調べる実験で、CP対称性の破れの発見することによって小林益川理論を検証し、素粒子の標準模型の理解に貢献した。その後継の Belle II 実験では、ルミノシティ(輝度)を40倍に増強したSuperKEKB 加速器を用い、B中間子の崩壊などをより精度よく測定することによって標準模型を超えた新物理の解明を目指す。
 現在、SuperKEKB加速器は、建設の最終段階にあり、来年早々に試運転を予定している。また、Belle II 検出器の建設も進んでいる。談話会では、Belle 実験の成果について振り返った後、Belle II のめざす物理について講演する。また、Belle II 測定器の準備状況についても紹介する。 


講師:Jean-Paul Blaizot(CEA-Saclay, France & 京都大学基礎物理学研究所)
日時:7 月 24 日(金曜)17:00〜  場所:Z103 教室
題目:Bose-Einstein Condensation in Unusual Circumstances
   (尋常でない状況で起こるボーズ・アインシュタイン凝縮)

 There is robust evidence from the Relativistic Heavy Ion Collider (RHIC), and now from the Large Hadron Collider (LHC) that matter produced in ultra-relativistic heavy ion collisions reaches (nearly) local equilibrium, and flows like a ('perfect') fluid. However, according to our present understanding, the number of gluons that get freed in the early stages of the collisions, and which constitute the bulk of this fluid, are too numerous to be accommodated by an ordinary thermal distribution. Assuming that their number remains approximately constant as the system evolves toward equilibrium, a natural, albeit controversial, possibility is that the excess gluons form a Bose-Einstein condensate. Aside from its potential relevance to the specific problem of thermalization of the quark-gluon plasma produced in ultra-relativistic heavy ions, the dynamical formation of such a condensate is an interesting problem in itself, with connections to diverse fields of physics, ranging from cosmology to cold atom systems. Several aspects of this problem will be addressed in the talk.


講師:上床 美也(東京大学物性研究所)
日時:6 月 25 日(木曜)17:00〜18:00  場所:Z103 教室
題目:超高圧下での物性測定と圧力誘起超伝導現象

 3d 遷移元素や 4f 希土類元素を含む化合物の磁性には、その遍歴性や局在性に起因した興味深い多彩な磁気構造がしばしば出現する[1]。これらの起源を明らかにする実験手段の1つとして圧力効果の研究がある。圧力効果の研究を行うためには、これまで特殊技術が必要とされてきたが、最近はピストンシリンダー型圧力装置を用いることにより、3 GPa 程度までの静水圧下の研究を比較的簡単に行うことが可能となっている。しかしながら、3 GPa以上の圧力下の研究は現在でも特殊技術を必要とするとともに、この圧力領域においてはほとんどの圧力媒体が固化するため、静水圧性に敏感な試料を用いた研究を行う場合は注意が必要である。研究室では、ピストンシリンダー型圧力装置、キュービックアンビル圧力装置および改良型ブリッジマンアンビル圧力装置を使用し圧力誘起相転移現象の研究を行ってきた。最近、3d 遷移金属化合物で圧力誘起超伝導現象を観測出来たので紹介する。
 MnP 型構造を持つ 3d 遷移金属間 1対1化合物は、元素の組合せにより多彩な磁気秩序を示すため、その磁気相互作用の研究が古くから行われてきた。これらの物質のこの中で、CrAs は反強磁性秩序温度(TN ~ 270 K)以下で大きなボリューム変化(a、c軸に縮み、b軸に伸び、体積としては増加する)を伴う1次転移を示す物質として、MnPは強磁性秩序温度TC ~ 291 Kおよび長距離反強磁性秩序をTm ~ 50 K以下で示す物質として知られている[1]。これらの物質の純良単結晶を用いた圧力効果の研究を行った。
 CrAs および MnP の磁気秩序は圧力で抑制され、CrAs では僅か 9 kbar、MnP においては 6 GPa 以上で消失し、その臨界圧力が PC ~ 9 kbar および 6 GPa 近傍で有ることが明らかになった。と同時に、この磁気秩序消失圧力近傍において、バルクな超伝導現象が観測された[2,3]。セミナーではこれらの物質で観測された圧力誘起超伝導現象について、その物性の圧力依存性について報告する。

[1] 例えば、K. Motizuki et al., Electronic Structure and Magnetism of 3d- Transition Metal, Springer Series in materials science 131 (2009).
[2] H. Kotegawa et al., J. Phys. Soc. Jpn. 83, 093702 (2014), W. Wei et al., Nature Commun. 5, 5508 (2014).
[3] J. Cheng et al., Phys. Rev. Lett. 114, 117001 (2015)


講師:笹川 崇男(東京工業大学 応用セラミックス研究所)
日時:6 月 4 日(木曜)17:00〜18:00  場所:Z103 教室
題目:相対論効果が創発する新奇電子機能物質の開拓

近年、固体中の電子状態に対する相対論効果に注目が集まっている。 強いスピン軌道相互作用、波動関数の空間分布や固有エネルギー値への 効果などを通じて、非磁性物質なのにスピン偏極したり、絶縁体表面に 金属状態が出現したり、中身と表面で異なる超伝導状態になったり、 といった新奇な電子状態が自発的かつ必然的に起こることが分かってきた。 本講演では、強い相対論効果に着目することで発見されたラシュバ物質・ トポロジカル絶縁体・トポロジカル超伝導体などの新しい種類の 電子機能物質について、研究の背景から最新の研究成果までを幅広く紹介する。


講師:鈴木 州(神戸大学大学院理学研究科物理学専攻・粒子物理学講座)
日時:4 月 24 日(金曜)17:00〜18:00  場所:Z103 教室
題目:ハイパーカミオカンデ計画

1998年のスーパーカミオカンデによる大気ニュートリノ振動の発見を突破口 に、素粒子理論の見直しを迫るニュートリノの性質が次々に明らかにされて います。2011年には大強度陽子加速器J-PARCで作られたミューオンニュート リノビームをスーパーカミオカンデに照射するT2K実験により、3つあるニュ ートリノ振動モードのうち未確認であった最後の一つのモードも確認されま した。全てのニュートリノ振動モードが確認された今、ニュートリノ研究は 更なる発展を目指し次のステージへ進みます。 その一つとして計画されているハイパーカミオカンデ実験は、地下に設置さ れる100万トン級(スーパーカミオカンデの20倍)の巨大水タンクとその中 に並べる超高感度光センサーからなります。本講演では、その概要と目指す 物理、および、開発研究の現状などについてお話しします

2014年度

2015/ 1/30 (金曜
講師:Dr. Alexey Alfonsov(Molecular Photoscience Research Center, Kobe University)
日時:1 月 30 日(金曜)午後 5 時
場所:Z103 教室
題目:Multi-frequency electron spin resonance spectroscopy study of the FeAs-based superconductors

 In this talk, I would like to present a detailed investigation of GdO1−xFxFeAs samples by means of high-field and high-frequency electron spin resonance (HF-ESR) complemented by the measurements of thermodynamic and transport properties. The parent GdOFeAs Compount exhibits Fe long-range magnetic order below 128 K. The fluorine for oxygen substitution yields a suppression of such a long-range order and induces a superconductivity with rather elevated critical temperatures Tc of 20 K - 45 K, depending on doping level. Interestingly, the Gd3+ HF-ESR reveals an appreciable anisotropic exchange interaction between Gd and Fe moments, which is frustrated in the absence of an external magnetic field. Owing to this coupling, Gd3+ HF-ESR can probe sensitively the evolution of the magnetism in the FeAs planes upon fluorine doping, starting with the parent compound, where the static magnetic order is clearly seen. Surprisingly, it is found that in the superconducting samples, where the Fe long-range order is absent, there are short-range, static on the ESR time scale magnetic correlations between Fe spins. Their occurrence on a large doping scale may be indicative of the ground states’ coexistence.


2014/11/28 (金曜
講師:小玉 英雄(高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所)
日時:11 月 28 日(金曜)午後 5 時
場所:Z103 教室
題目:Probing the string axiverse by gravitational waves from Cygnus X-1

 超弦理論コンパクト化は,高次元理論に含まれる多様なフォーム場のカイラルなシフト対称性のために,重いモジュライの超対称パートナーとしてアクシオンと呼ばれる多様な南部・Goldstone場を生み出す.これらのアクシオンは,隠れたセクターに含まれるゲージ場インスタントとの相互作用により微小な質量を獲得する.余剰次元の位相構造の複雑さを反映して,QCDアクシオンを含むこれらの超弦理論アクシオンの種類は100を超える可能性があり,その発見は,余剰次元の存在を示す強い証拠となる.
 これら微小質量アクシオンは,そのCompton波長が宇宙の天体やホライズンスケールになると,様々な宇宙現象を引き起こし,超弦理論に対する観測的窓を提供する.特に,質量が1e-20eV 〜 1e-10 eVのアクシオンが自然法則に含まれると,増幅反射不安定により,現実に存在する回転するブラックホール天体の近傍で巨視的なアクシオン雲が形成され,重力波を放出する.本講演では,この議論をブラックホールX線天体であるCygnus X-1に適用することにより,これまでのLIGO観測データからアクシオンの質量および崩壊定数に対して強い制限が得られることを示す.

References:
H. Yoshino, H. Kodama: arXiv: 1407.2030.
Ibid: PTEP2014, 043E02 (2014) [arXiv: 1312.2326].
Ibid: PTP128, 153 (2012) [arXiv: 1203.5070].
H. Kodama: Int. J. Mod. Phys, Conf. Ser. 7, 84 (2012) [arXiv: 1108.1365].
Arvanitaki, S. Dubovski: PRD83, 044026 (2011) [arXiv: 1004.3558].
Arvanitaki et al: PRD81, 123530 (2010) [arXiv: 0905.4720].


2014/10/31 (金曜
講師:伏見賢一(徳島大学ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部)
日時:10 月 31 日(金曜)午後 5 時
場所:Z103 教室
題目:宇宙暗黒物質探索のための高純度結晶開発

 宇宙暗黒物質と原子核の弾性散乱で期待される信号は一日、1トンの検出器に対して1イベント以下という極めて稀な事象である。そのため、宇宙暗黒物質探索に使用する検出器の素材は数pptレベルの高純度素材を使って組み立てる必要がある。宇宙暗黒物質を探索するために使用するシンチレーターの純度を向上させるとともに宇宙暗黒物質の信号をより効率よく検出するための低エネルギー測定(電子換算で1 keV)を実現することに成功したので、その結果を報告する。


2014/7/24 (木曜
講師:大道 英二(神戸大学大学院理学研究科)
日時:7 月 24 日(木曜)午後 5 時
場所:Z102 教室
題目:カシミール力:カンチレバーで探る真空のゆらぎ

 カシミール力とは1948年にカシミールが理論的に予言した[1]、近接する2枚の電気的に中性な金属板間にはたらく量子力学的な力である。1997年のラモレーらによる最初の実験的報告[2]から17年たった今、カシミール力は純粋理論物理の分野から工学、生物分野へとその領域を広げつつある。本講演では、カンチレバーを用いた最近のカシミール力の実験的研究について概説し、その興味深い現象の一端を紹介したい。

[1] H. B. G. Casmir, and D. Polder, Physical Review 73 (1948) 360.
[2] S. Lamoreux et al., Physical Review Letters 78 (1997) 5.

2014/6/20 (金曜
講師:遠藤 康夫(東北大学名誉教授・高エネ研・理研)
日時:6 月 20 日(金曜)午後 5 時
場所:Z201-202 教室
題目:中性子ブリリアン散乱によるスピン励起の観測* − 強磁性酸化物 SrRuO3 のスピン波 −

 中性子非弾性散乱の観測には大型の単結晶が必要不可欠という常識が横行している。勿論単結晶があれば問題はないが、何時も何時もある訳ではない。制約はあるが多結晶(粉末)試料で単結晶からの観測にひけを取らない方法として、Neutron Brillouin Scattering (中性子ブリリアン散乱)があり [1]、エネルギーの比較的高い中性子が使える pulsed neutron sourse と組み合わせて強磁性スピン波散乱観測法を確立すると共に、強磁性状態が Berry Phase と示唆されている SrRuO3 [2] のスピン励起の観測を試みた。この物質は異常ホール効果で強い cross conductivity が観測され、その解析から magnetic monopole の存在の可能性が理論的に議論されているので、中性子散乱によるスピン波の異常な温度変化と関連づけて議論したい。実験は J-PARC の中性子散乱施設(MLF)に設置された BL12 のHRC chopper 装置に高品位の SrRuO3 粉末試料を搭載して分光実験を行った。

*S. Itoh, T. Yokoo, Je-Geun Park, Y. Kaneko, Y. Tokura, N. Nagaosa,との共同研究
[1] S. Itoh, Y. Endoh, T. Yokoo,et al., J. Phys. Soc. Jpn., 82 (2013) 043001
[2] Zheng Fang, N.Nagaosa, K.S. Takahashi et al., Science 302 (2003) 92

2014/5/16 (金曜
講師:前田 順平(神戸大学自然科学先端融合研究環)
日時:5 月 16 日(金曜)午後 5 時
場所:Z103 教室
題目:ニュートリノ振動実験の進展

 1998 年にスーパーカミオカンデで大気ニュートリノ振動 が発見されて以来、ニュートリノに対して我々の理解は目覚 ましい発展を続けています。特に第 3 の混合角θ13 は CHOOZ 実験で上限値のみが与えられていましたが、10 年以 上の時を経た 2011 年から 2012 年にかけていくつもの実験か ら、有限値で測定された結果が発表されました。これは近年 の検出器や加速器の技術、計算機資源の発展も相まった結果 であり、これによってニュートリノ実験は新たなステップへ 進もうとしています。
 本講演では、ニュートリノ振動実験、特に近年の原子炉ニュートリノ振動実験を主に紹介し、さらに将来のニュートリノ物理の見通しについてお話しします。

2014/4/25 (金曜
講師:松岡 英一 (神戸大学大学院理学研究科)
日時:4 月 25 日(金曜)午後 5 時
場所:Z103 教室
題目:ウィーン滞在報告 −強相関希土類化合物の新物質探索−

 昨年 8 月から本年 2 月までの半年間、ウィーン工科大学の Ernst Bauer 教授の研究室に学振の制度を利用して滞在した。伝導電子と、磁性を担う 希土類の f 電子との間に強い電子相関を持つ化合物(強相関希土類化合物) の中には、高い温度で磁気転移を示す化合物や、既存の超伝導理論である BCS 理論に従わない超伝導体等、その発現機構が未解明な物が少なくない。 これらの未解明問題を解決する手段の一つが新物質開発である。今回の滞在 期間中、電子物性研究室で推進している新物質探索に関する共同研究を行うと共に、物質開発の豊富な実績を有する Bauer 教授の下でそのノウハウを 学んだので、その結果について報告する。また、ウィーン工科大学における 研究・教育と、ウィーン市内の雰囲気などについても紹介したい。
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