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博士(理学)、東京大学、2016年 理学研究科物理学専攻准教授 研究グループ: 理論物理学グループ 研究室: 理学部B棟2階226号室 電話: 078-803-5683 電子メール: |
素粒子理論には、標準模型と呼ばれる電弱スケール(〜100GeV)まで有効性の検証された理論があります。しかしながら、この素粒子標準模型は我々が存在する理由を説明できません。なぜなら、観測的に存在が確実であるバリオン非対称性・ニュートリノ質量・暗黒物質・暗黒エネルギーや、理論的に有力と考えられている宇宙最初期の加速膨張・力の大統一・強いCP問題等の重大な謎を解くことができないからです。そのため、標準模型は完全な理論ではあり得ないことが知られています。
私は、初期宇宙からの痕跡を用いて標準模型を超えた素粒子物理を検証する可能性に重点的に取り組んできました。実際、物質のミクロな基礎方程式を追い求める素粒子論と、宇宙のマクロな熱史を追い求める宇宙論には密接な関係があります。ミクロな素粒子の物理がマクロな宇宙の発展を決定し、逆にマクロな宇宙に残る痕跡をつぶさに観測することでミクロな物理の手がかりを掴むことができます。
例えば、2015年のLIGO-Virgoによる重力波の初観測は、重力波による高エネルギー初期宇宙の検証可能性を切り開きました。実際、今後10-20年の間に、LISAやDECIGOを始めとした観測衛星の打ち上げを契機として重力波宇宙論が全盛期を迎えることが期待され、高エネルギー初期宇宙で起きたダイナミクス、ひいては素粒子論・宇宙論の未解決の謎に迫るまたとない好機が訪れます。「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」ー 最終的に人類がこの問いの答えに少しでも近づけるよう、素粒子論・宇宙論を駆使して研究を行なっています。