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シンクロトロン放射光実験施設SPring−8が有する優れたビーム特性を特に赤外線領域で活かすための赤外ビームライン (BL43IR) は、神戸大学・難波グループが中心となって提案し、現在、理化学研究所、高輝度光科学研究センター、神戸大学、大阪市立大学、京都大学、福井大学、分子科学研究所、東北大学の研究者、大学院生からなる建設チームが建設を進めています。右図は11月12日現在のBL43IR全景です。(クリックすると拡大できます)広大な実験ホールを背景に、実験機器が配置され、調整・組立が進んでいます。
このページでは、SPring-8の赤外ビームラインBL43IRについて、以下のようなメニューで紹介していきます。
SPring−8とは?
赤外ビームラインBL43IRの目的
BL43IRの装置概要
写真で見るBL43IR建設
建設グループメンバー
SPring−8とは?SPring-8("Super Photon Ring - 8 GeV"の略)は、兵庫県西部に位置する西播磨科学公園都市に建設され、平成9年に運転を開始した世界最大・最高水準の放射光実験施設です。周長1436 mの蓄積リングへ加速エネルギー8 GeVで入射された電子線からのシンクロトロン放射光を用いて実験を行うための多種多様なビームラインを備えています。(右図はその航空写真)
赤外ビームラインBL43IRでは、SPring-8の持つ優れたビーム特性、即ち、
・高輝度性(非常に細い電子ビームから放射される放射光は、従来の赤外光源よりも格段に狭い領域に光を集中することができる)
などを活かし、以下の主要な研究テーマを追求します。
BL43IRは、以下の主要な構成要素より成り立ちます。
以下に各要素について説明していきます。
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電子線蓄積リングに設置された電磁石(図中Bending Magnet)から発生する放射光はまず、クロッチ(Crotch)とよばれる装置によって赤外・可視成分だけを横方向へ反射させ、放射線遮蔽壁(Radiation Shield)の天井を通して、実験ホールへと導きます。(わざわざ天井を経由するのは、放射線防止規定を考慮したためです)この間には、電子線蓄積リングの超高真空部分とビームラインの低真空部分を隔離するための光学窓(ダイヤモンドまたはBaF2を切り替え使用)が取り付けられています。
フーリエ変換赤外干渉分光計 Bruker IFS 120HR
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左上: 建設初期(まだ装置は入っていない)
左上: 建設初期(まだ装置は入っていない)
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・理化学研究所播磨・高輝度光科学研究センター(JASRI)
・神戸大学自然科学研究科、理学部
・大阪市立大学理学部
・京都大学原子炉実験施設
・福井大学工学部
・分子科学研究所
・東北大学工学研究科
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もっと知りたい方はSPring-8公式ホームページのここへどうぞ。
(放射光の発生原理、材料科学への応用なども、豊富な説明あり。)
赤外ビームライン(BL43IR)の目的
・パルス性(従来の赤外光源と大きく異なる点であり、時間幅100 psec以下のパルス白色光源である)
・優れた偏光特性(放射光は本質的に偏光した光源であり、広い波長範囲に渡って直線偏光・円偏光を得ることができる)
顕微赤外分光
赤外放射光と顕微鏡を組み合わせ、数10 μmの空間分解能での2次元赤外分光を行います。これは従来の赤外光源による顕微分光では困難なものです。応用範囲は非常に広く、鉱物、氷、強相関電子系物質などの超高圧力下での赤外分光、生体物質(生物、医療)の2次元分子振動解析、半導体ウェハーの空間分解分析、など。 より詳しい説明
表面吸着分子の振動分光
清浄な金属表面に吸着した気体分子の赤外振動分光はIRASとよばれ、多くの研究がなされてきました。従来IRASは主に中赤外領域(波長1-10μm)で行われてきましたが、高輝度赤外放射光によって遠赤外(波長10-100μm)IRASが初めて可能になります。これまで未知であった低エネルギー振動モードの振る舞いを詳しく研究します。 より詳しい説明
時間分解赤外分光、レーザー励起下赤外分光
SPring-8の赤外放射光が時間幅100 psec以下の白色光源であることを活かし、パルスレーザー励起・パルス赤外光プローブによるサブ nsec 時間分解赤外分光を行います。研究対象は視物質、光合成物質、分子性導体などの時間分解振動分光、半導体量子井戸やイオン結晶における光励起キャリヤや振動状態の時間分解分光など。 より詳しい説明
超高分解能赤外分光
ビームの発散が小さい放射光を高分解能フーリエ分光器と組み合わせると、非常に高い分解能(0.01 cm-1以下)での赤外分光が可能になります。これにより、イオン結晶や気体分子の振動状態における非常に微細な構造の研究が可能になります。
赤外磁気光学
優れた偏光特性を持った赤外放射光を、強力な磁場中におかれた磁性体に当てることにより、磁性に関わる電子状態の詳しい情報が得られます。さらにその高輝度性を利用して赤外磁気光学イメージング分光を行い、磁性体の磁区境界付近における電子状態などを調べます。 より詳しい説明
赤外ビームライン(BL43IR)の装置概要
フロントエンド部
フーリエ変換型干渉分光計
実験ステーション(St)部(顕微分光St、表面科学実験St、吸収・反射分光St、磁気光学St)
フロントエンド部
SPring-8の赤外シンクロトロン放射光はまず、「フロントエンド」とよばれる部分を経て放射線遮蔽壁の外へ導かれ、実験ホールに設置された「フーリエ変換型干渉計」に入射します。ここまでの様子の3次元概略図を下に示します。(冒頭の全体写真と比較してみて下さい。)

実験ホールへ導かれた赤外放射光は、フーリエ変換干渉分光計へ導かれます。
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フーリエ変換型干渉分光計
BL43IRの心臓部とも言うべきフーリエ干渉分光計は、ドイツのBruker社によって製造されたIFS 120HRとよばれる機種です。右図はBL43IRでの日本Bruker社らによる納入風景です。以下に仕様を示します。
・ラピッドスキャン・変形マイケルソン型干渉計
・最高分解能:0.0064 cm-1
・測定波数(波長):50 cm-1 (200μm) - 25000 cm-1 (400 nm)
・分光器本体真空排気可能(0.1 Torr以下)
・2次元電動ステージと連動した2次元マッピングが可能。
・内部光源3種類内蔵(Hg lamp, Globar, W lamp)
・内部検出器5種類内蔵(DTGS-FIR, DTGS-MIR, SiおよびGeダイオード、MCT)
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実験ステーション
干渉計から出射した赤外放射光は、下図に示すようにビーム輸送系を経て以下の4つの「実験ステーション」へと導かれます。
これら4つの実験ステーションでは、「BL43IRの目的」の項で説明した実験を追求するための各種の装置が備わっています。各実験ステーションのより詳しい解説は以下をご覧下さい。(SPring-8シンポジウムにおける発表原稿のPDFファイルです。見るにはAcrobat Readerが必要です。)
顕微赤外分光ステーション
表面科学実験ステーション
吸収反射分光ステーション
磁気光学実験ステーション
写真で見るBL43IR建設
上から見下ろすBL43IRの変遷
正面から見るBL43IRの変遷
フーリエ干渉計の納入・据え付け
フロントエンド下流部の据え付け
上から見下ろすBL43IR
右上: フロントエンド設置・フーリエ干渉計設置後
左下: 除湿ブース、レーザー、顕微鏡、表面装置納入後
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正面から見るBL43IR
右上: フロントエンド、干渉計、顕微鏡設置後
左下: 表面装置納入後
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フーリエ干渉計の納入・据え付け
フロントエンド下流部の据え付け
BL43IR建設グループメンバー
(西から東へ)
木村洋昭、森脇太郎
難波孝夫、桜井誠、木村真一、岡村英一、中山昌哉(M2)、奧野満(M1)、松波雅治(M1)、佐田毅(M1)
篠田圭司
高橋俊春
中川英之、小柳 元良(M1)
福井一俊
近藤泰洋、吉松俊英 (M2)