反強磁性起源の異常ホール効果を示すNbMnPの試料の純良化に成功し、その不純物依存性を通して異常ホール効果が不純物散乱に依存しない内因性機構で生じていることを明らかにしました
2024/06/03
従来、異常ホール効果(磁場が無くても生じるホール効果)は磁石のような強磁性体で生じる効果だと認識されていましたが、近年、特定の反強磁性状態でも生じることが分かってきました。異常ホール効果は「バンド構造に由来する内因性機構」と「不純物散乱に由来する外因性機構」があると知られていますが、反強磁性体に対してはそれらを区別する実験がほとんど行われていませんでした。 物理学専攻の新井祐樹さん(博士後期課程)、小手川恒准教授を中心とする研究グループは反強磁性起源の異常ホール効果を示すNbMnPの試料の純良化に成功し、 その不純物依存性を通して異常ホール効果が不純物散乱に依存しない内因性機構で生じていることを明らかにしました。 この成果は日本物理学会の英文誌であるJournal of Physical Society of Japanに出版され、Editors' Choice(注目論文)に選出されました。
論文情報:
"Intrinsic Anomalous Hall Effect Arising from Antiferromagnetism as Revealed by High-Quality NbMnP"
DOI: 10.7566/JPSJ.93.063702