山崎 祐司(やまざき ゆうじ)

山崎 祐司(やまざき ゆうじ)

山崎 祐司(やまざき ゆうじ)

理学博士、東京大学、1996年
理学研究科教授

研究グループ:素粒子実験グループ
研究室:自然科学総合研究棟3号館313室
電話:078-803-5635
電子メール:yamazakiphys.sci.kobe-u.ac.jp

研究内容

スイス・ジュネーブの欧州素粒子研究所で行われている世界最高エネルギーの陽子・陽子衝突LHCを用いたATLAS実験を推進しています。
LHC実験は、われわれの住む時空は実は空っぽではなく、ヒッグス場というもので満たされていることを解明しました。ひょっとするとこのヒッグス場は、なぜわれわれ物質が宇宙に存在できて、反物質が存在できないかのカギを握っているかもしれません。また、そのような現象が起きたとされる初期宇宙では、知られている素粒子のうち一番重いトップクォークが何らかの役割を果たしたと考えられています。そういった宇宙の謎の解明を素粒子の観点から実験的に解明したく、世界最高エネルギーでの衝突実験に携わっています。
実験の感度を上げるために、神戸大学は衝突で生成されるミュー粒子を取り逃さないためのミューオントリガーの開発・製作・運用を行っています。技術の向上に伴い、ソフトウェアで動作を変更できるハードウェアで、高速・低コスト・低電力の計算ができるようになっています。そのような装置の開発を他の教員とともに進めています。
また、LHCは陽子同士を衝突させる実験です。陽子がどのようなクォークでできていて、グルーオンとどう結びついており、それらがどういう運動量分布をしているかの理解が実験の精度のカギを握ります。この理解を大きく推し進め、また数々の電弱相互作用の精密測定が可能な、電子・陽子型加速器の将来計画(米国 EIC, 欧州 LHeC)での物理測定、測定器開発にも携わっています。

代表的な論文

  • “Measurements of ttbar differential cross-sections of highly boosted top quarks decaying to all-hadronic final states in 𝑝𝑝 collisions at √s=13 TeV using the ATLAS detector”, ATLAS Collaboration, M. Aaboud, Phys. Rev. D 98, 012003(2018)
  • “The Large Hadron–Electron Collider at the HL-LHC”, P. Agostini, Journal of Physics G, 48, 110501 (2021)
  • “An experiment for electron-hadron scattering at the LHC”, K.D. Andre, Eur. Phys. J. C 82, 40(2022)
  • 書籍 “The Future of the Large Hadron Collider, A Super-Accelerator with Multiple Possible Lives”, Edited by O. Brüning, M. Klein, L. Rossi, P. Spagnolo (山崎祐司が第25章担当), World Scientific, 2023年11月
  • 電子書籍(フリーアクセス) “Experimental Techniques in Modern High-Energy Physics, a Beginner's Guide”, Kazunori Hanagaki, Junichi Tanaka, Makoto Tomoto and Yuji Yamazaki, Springer, 2022
  • 書籍「ヒッグス粒子の見つけ方」戸本誠,花垣和則,山崎祐司,丸善出版,2013.

講義

  • 全学共通:力学基礎1,2
  • 学部教育:物理学情報処理、物理学実験3
  • 博士前期:素粒子実験学III(隔年)
  • 博士後期:高エネルギー物理学II
  •  その他: